雇用契約の無期転換申込権の衝撃(高知地判R2.3.17の紹介)
労働契約法18条は有期労働契約が5年以上に達した場合、無期に転換する旨を定めています。昔はこのようなルールはなく、例えば1年の有期契約が繰り返し更新されていても無期になることはありませんでした。つまり、法律上は、更新更新で10年とか継続して勤務しても、常に更新が拒絶される可能性をかかえながら勤務することになっていました。
このルールができたことで、有期労働契約の方の地位が安定すると期待されましたが逆に、4年ぐらいで更新が拒絶されるという事態もおきています。
高知地判R2.3.17(ジュリスト1547号4頁)は、まさにこのような事案で、もともとのプロジェクトが5年程度を予定していたにもかかわらず、プロジェクトの途中の約4年たったところで更新拒絶したことが有効かどうかが争われました。
裁判所は、プロジェクトが5年あったので、5年間雇用が継続されるという期待があり、このような期待には合理的な理由があるとしたうえで、さらに、無期転換申込権があった認めて、無期転換が成立したと判断を致しました。
これは雇用主側には少々衝撃です。今後は、事案によっては、雇用を開始する時点で、5年間より短い期間で更新を止めるなど、雇用開始する時点できちんと説明をする(さらには説明したことを残しておく)必要があるように思われます。
こういうところが、法律は難しいところですが、面白いことろです!