ビジネス関連法律お悩み相談  実務に効く!ビジネスに関連する法律のトリセツ(会社法、M&A、役員の責任など)

ビジネスに関連する法律の裁判例や法律改正を具体的かつわかりやすくご説明します。

解雇の難しさ

時々、会社側の方から、解雇について相談を受けます。色々理由はあるのですが、多いのは、仕事ができない、周りとのコミュニケーションがとれない、パワハラがひどいなどです。また、まれに、労働組合に個人で加入して困っているという話もききます。 対応に…

会社分割と雇用契約(最判H22.7.12、神戸地尼崎支H26.4.22)

M&Aの方法の一つに会社分割があります。会社の事業の一部を切り出して子会社化したり、会社の事業の一部を他者に譲渡する際に使われます。 事業の一部の切り出しになるので、当然従業員もその承継の対象になります。しかし従業員からすれば、いつの間にか…

資本金額減少の際の「債権者を害するおそれ」とは(大阪高判H29.4.27)

色々な要因で、減資をすることは時々あります。特に、事業再生のため会社規模を小さくする場合や、税務上のメリットをとる場合が多いものと推定されます。 減資の際に問題となるのは、会社法449条5項ただし書きです。つまり、減資に対して債権者は異議を述べ…

同族会社間におけるトラブル①(最判H17.2.15)

多くの中小企業は同族会社です。 「同族」といっても、必ずしもずっと仲がいいわけではありません。特に相続などが発生して代が変わると、ほとんど付き合いのない者が株主となることもありえます。また、兄弟で株を持っていたとしても、何かのきっかけで仲が…

インターネット事業を譲り受ける上での注意点(知財高裁H29.6.15)

近時M&Aが活発になっていますが、インターネット事業を譲り受ける場合には、特に競業避止義務に注意が必要です。 この点が問題になったのが、知財高裁H29.6.15です。 これは、インターネット事業を譲りうけたX社が、譲渡したYに対して、競業避止義務違反ある…

グループ企業と取引をする際のリスク(最判H28.7.8)

近時、会社内で複数の事業を行うのではなく、グループ企業を形成して、事業ごとに会社を分けることも多く行われている。これはM&Aが多くなり、事業を取得したり売却することが多くなっていることも影響しているものと思われます。 ところで、例えばXが同一グ…

会社の業況が悪い状況で取引を継続することと、取締役の第三者責任について(高知地裁平成26年9月10日)

会社の業況が悪化していてたとしても、なんとか事業を継続しようとしてやや無理をして取引を継続することは、一般的にみられるところです。 一方で、取締役は、その職務により第三者に損害を与えた場合。悪意・重過失がある場合、損害賠償責任を負います(会…

債務超過子会社の整理は、特別清算をしておけば税務上問題ない??(東京高裁平成29年1月19日)

債務超過子会社を整理する場合、特別清算を利用することは、よく行われています。 これは、任意整理だと、税務上、親会社の債権放棄を損金算入することが難しいことに起因します。 では、特別清算をしておけば、常に親会社は債権放棄額を税務上損金算入でき…

債務者が破産した!連帯保証人がいるから大丈夫?

債務者(貸付先や、売掛先)が破産しました。 連帯保証人がいれば、大丈夫でしょうか? 連帯保証人に資力があれば、そのような考え方で基本的に大丈夫です。 ただ、時効には注意が必要です。 主債務者に民事再生が開始され、再生計画案が認可決定確定した場…

就業規則を従業員に不利益に変更するための手続きについて(大阪高判H28.10.26)

就業規則を不利益に変更した手続に違反があったとされた裁判例(大阪高判H28.10.26。以下「本件事案」といいます。)をご紹介します。就業規則は従業員にとって、とても大切なものです。普段あまり見ないかもしれませんが、仕事をするうえで基本的な条件が記…

株主総会で株主の代理人弁護士の出席を認めないことは違法か(札幌高判R1.7.12)

いわゆる同族会社において、株主間で紛争になることは少なくありません。 相続が発生して相続人に株式が分かれたり、最初は仲良く株式を持ち合い経営していた兄弟仲が悪くなったりするようなケースが典型です。東京地方裁判所の民事8部は、会社法関係の紛争…

雇用契約の無期転換申込権の衝撃(高知地判R2.3.17の紹介)

労働契約法18条は有期労働契約が5年以上に達した場合、無期に転換する旨を定めています。昔はこのようなルールはなく、例えば1年の有期契約が繰り返し更新されていても無期になることはありませんでした。つまり、法律上は、更新更新で10年とか継続して勤務…